法務スペシャリストの転職やキャリアップに役立つ! 書評連載「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」【後編】|法務・パラリーガル・弁理士・知的財産の転職・求人情報なら「法務求人.jp」

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法務スペシャリストの転職やキャリアップに役立つ! 書評連載「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」【後編】

前回の記事では、転職を成功させる秘訣として法律書籍が有益であることを紹介し、お薦めの書籍として「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」を紹介しました。しかし、転職活動を進めている人の中には、「忙しくて一冊の本をゆっくり読む時間が取れない」という人や、「GDPRの重要性は分かるが、全く知識が無いので通読する自信がない」という人もいるでしょう。

そこで今回は、転職活動で忙しい人に向けて、効率的な読書方法を紹介します。もちろん、時間に余裕がある人には全体の通読をお薦めしますが、お忙しい人は、ご自身のスタイルに合わせた効率的な読み方を選びましょう。

1.応募企業別に効率的な読み方を紹介

転職先の企業によって、GDPR(EU一般データ保護規則)の重要性は異なります。そこで下記では、業界別・業種別の読み方を紹介します。ご自身の希望する業種や業界に合わせて、効率的な読み方を選んでください。

1-1. 海外に拠点がある企業に応募する場合

海外に本店がある外資系企業では、GDPR(EU一般データ保護規則)の知識が必須となります。海外に子会社や支店を持つ国際企業も同様です。特に、EEA(欧州経済地域)に拠点を持つ会社では、重要度が高くなります。このようなグローバル企業では、国際法務を専門的に取り扱う部署を設けていることがあり、GDPR(EU一般データ保護規則)に限らず、国際法全般の知識や高い語学力が求められます。

グローバル企業に応募する場合は、GDPR(EU一般データ保護規則)の重要度が高いため、全体を通読することをお薦めします。どうしても時間が取れないという人は、下記の方法で読み進めましょう。

まず、海外法務について全く知識が無い人は、「Ⅰ 入門編」に目を通しましょう。入門編では、「GDPRとは何か?なぜ対応が必要なのか?」という基礎的な事項から始まっています。海外法務に苦手意識がある人でも、前提知識を持たずに読むことができます。Q03では、「どうしてGDPRが始まったのか?」という初歩的な質問にも分かりやすい解説がなされています。

入門編を読んだ後は、「Ⅶ ビジネスとGDPR」に進みましょう。この章では、具体的なケースを紹介しながら、企業の適切な対応方法を紹介しています。例えば、Q56では、「海外での名刺交換」や「メールマガジンの海外配信」について注意点が書かれています。Q53では、従業員の勤務評定や、採用応募者の履歴書の取扱いについて、詳しく説明されています。このように、具体的なビジネスシーンをイメージしながら読み進めることができるため、初学者でも理解しやすい内容となっています。

2019年の調査では66.7%(※1)の企業が「GDPRに対応済み」と答えていますが、このような企業においても、名刺や履歴書の取扱いにまで対応が追いついていないことがあります。「Ⅶ ビジネスとGDPR」を読んでおけば、「会社の対応が十分なのか」を確認することができます。

1-2.顧客情報の秘匿性が高い業種に応募する場合

保険会社や銀行、証券会社では、プライバシー性の高い顧客情報を扱います。法務部で個人情報を管理することも多いため、GDPR(EU一般データ保護規則)の知識が重要となります。日系の企業であっても、顧客に海外在住者が含まれることがあるため、GDPR(EU一般データ保護規則)の規制から逃れることはできません。

また、航空会社やホテル、鉄道や旅行代理店等の旅行関連業に応募する場合も、海外からの旅行客の個人情報を扱うため、GDPR(EU一般データ保護規則)の知識が必須となります。

これらの企業に応募する場合は、「Ⅰ 入門編」はもちろんのこと、「Ⅱ GDPRの適用対象」と「Ⅷ リスク低減に向けたGDPR対策」を読んでおきましょう。銀行や保険会社、ホテルや航空会社においては、一度顧客情報が漏えいしてしまうと、企業の信用失墜につながります。個人情報の管理方法が重要な課題となるため、転職先として金融や旅行業界を検討している人は、Ⅷ章をしっかりと読み、危機管理に役立つ知識を身につけておきましょう。

Ⅷ章を全て読む時間が無い人は、Q60だけでも目を通しておきましょう。Q60では、企業が対策すべき事柄について、優先順位を付けて紹介しています。「GDPR業務に割く時間を十分に取れない」という実務家からの需要に直結しており、実践的な情報を身につけることができます。

1-3. 海外からの注文を取り扱っている企業に応募する場合

顧客の中心が日本国内である会社では、GDPR(EU一般データ保護規則)の重要度は高くありません。ただし、海外からの注文を受け付けている場合には、その顧客情報にGDPR(EU一般データ保護規則)が関わります。重要度は低いもの、全く不要であるとは言い切れないため、念のため目を通しておいた方が良いでしょう。

時間が無い人は、ざっと「Ⅰ 入門編」に目を通しておきましょう。余裕がある人は、「コラム01、02、03、05」も読んでおきましょう。特にコラム03は、顧客のウェブサイト閲覧履歴や位置情報をマーケティングに使う場合に、企業が注意すべき点が紹介されています。顧客情報だけでなく、会社アカウントの従業員メールをチェックすることの是非についても、解説されています。これらのコラムは、実際のビジネスシーンを想定して解説されているため、国際法務未経験の人でも、抵抗なく読むことができます。

1-4. 海外法人設立のために法務部員を募集している会社に応募する場合

法務部の求人の中には、海外販路拡大のために法務部員を増員する企業や、海外法人設立のために法務部員を新たに募集している企業があります。国際法務担当の部員として応募する場合は、国際法の知識が必須となります。

未経験でこれらのポストに挑戦する人は、最低でも「Ⅰ 入門編」「Ⅱ GDPRの適用対象」を読んでおきましょう。ある程度の実務経験がある人は、「Ⅶ ビジネスとGDPR」「Ⅷ リスク低減に向けたGDPR対策」「Ⅸ モデルケース別GDPRリスクとその対応」まで読んでおくことがお薦めです。

応募する企業がメーカーやIT企業である場合は、Q62とQ63に必ず目を通しておきましょう。Q62とQ63では、IOT製品やスマートフォン・アプリをEEA(欧州経済地域)に販売する場合について、企業が注意すべき点が解説されています。

2.まとめ

法律の書籍を読むのは時間がかかりますが、転職対策になるだけでなく、将来の業務に役立つ知識となります。今回紹介した「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」は、グローバル企業や金融、旅行関連業への転職を希望している人にお薦めの書籍です。特に、未経験で国際法務に挑戦する人は、必ず読んでおきましょう。

転職に悩んでいる人にも、読書がお薦めです。モチベーションが上がるきっかけになるかもしれませんし、志望動機を書くうえでのヒントが得られるかもしれません。転職活動でお悩みの方は、気分を変えて読書をしてみてはいかがでしょうか。

記事提供ライター

元弁護士 ライター
東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。

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