法務部員に求められる社内営業とは?|法務・パラリーガル・弁理士・知的財産の転職・求人情報なら「法務求人.jp」

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法務部員に求められる社内営業とは?

目次
  • 1.法務部員には社内営業が必要

  • 2.日本企業における法務部の位置づけ

  • 3.なぜ法務部は嫌われるのか

  • 4.社内営業の実例

  • 5.まとめ

1.法務部員には社内営業が必要

法務部員には社内営業が必要だとよくいわれます。しかし、一口に社内営業といっても論者によってその内容は様々です。法務部を通さずに契約が締結されてしまう社風の企業では、契約締結前に法務部に契約書を回覧するように求めることが社内営業の内容となるそうです。なんらかの形で法務部が関与できる仕事を社内で発掘することを社内営業と呼ぶ論者もいます。筆者は、法務部による社内営業とは、事業部門からの信頼を勝ち取るための活動であると考えています。事業部門に信頼されれば、自然と、契約を締結する前に契約書の添削を求められるようになり、新たなビジネスを考える際には事前の相談を受けるようになります。ここでは、企業内弁護士として法務部の機能強化に携わった経験がある筆者が考える法務部員の社内営業について説明します。

2.日本企業における法務部の位置づけ

日本において法務部がある企業は少数派です。多くの中小企業には法務部が存在しません。日本の法律では、保証契約などの一部の例外を除いて、口約束でも契約は有効に成立します。そして、日本人は義理を重視するので滅多なことでは裏切りません。社長同士が話し合って口約束で取引が決まり、従業員は社長が決めてきた仕事を駄目にしないために互いに忖度し合って取引条件を定めていくというのが、中小企業における契約交渉の実情です。おそらく、それでも問題がないケースが多いから、契約書も法務部も不要という日本の企業文化ができあがったのでしょう。

企業規模が大きくなり、社長同士が顔見知りではなくなったり、契約のためには契約書が必要となる外国との取引が行われるようになったりすると、契約書とそれを審査する法務部が必要になります。そのため、大企業にはほぼ例外なく法務部が存在しています。対外的な信用を得るために形式的に法務部を設置する企業もあります。

大企業であっても法務部が重視されているとは限りません。多くの大企業の事業部門は、せっかく契約が成立しそうになっても、法務部の契約書審査で難癖をつけられてまとまる話もまとまらなくなることが多いと感じています。残念ながら、法務部は企業に機会損失をもたらす有害な存在だというのが、事業部門が抱いている感情です。また、筆者が知る法務部員の多くは、自分たちは嫌われ者になってでもリスクのある取引にブレーキをかけて、企業の大事故を防ぐための存在だと自認しています。

3.なぜ法務部は嫌われるのか

通常の契約交渉では、事業部門の営業担当者間では何をいくらで売るといった大筋の合意しかしておらず、契約書審査の段階になってから、ようやく細かな取引条件を詰めることになります。その際には、自社の法務部と相手方の法務部が営業担当者を通して交渉をおこなうので、時間がかかる上にまとまる話もまとまらないということがあります。法務部は法務部の仕事をしているだけなのですが、ブレーキ役として見られがちなのは、このような問題があるからです。

筆者は弁護士として企業の外から契約書を添削しています。その際には法律的な視点から形式的な文言審査をすることしかできません。もっと早い段階から契約交渉に関与し、もっと契約内容についての情報を得られれば、より良い契約書とすることができるのにという悔しさがあります。

残念なことに、多くの法務部では弁護士がおこなうことと同様の契約書の審査しか行っていません。法務部は弁護士と異なり企業の中にいますが、自身を嫌われ者のブレーキ役と位置付けてしまったが最後、早い段階からの関与もせず、契約についての情報も集めず、企業内にいながら企業の外にいてもできる活動しかおこなわなくなるのです。そんな法務部が実際に嫌われ者になるのは当然です。

4.社内営業の実例

筆者は、既に法務部が存在する企業に、法務部の機能強化のために入社しました。経営者からは、ブレーキをかけるだけの法務は要らない、どのようにアクセルを踏めばよいか教えてくれる法務が欲しいと求められており、筆者がやりたいことが求められていると感じて入社を決めました。

筆者の入社当時、法務部は上がってきた稟議を契約書の文言不備を理由に突き返す嫌われ者でした。嫌われ者のブレーキ役になり事業部門と対立してでも企業を守るという保守的な考え方です。

しかし、筆者は、法務部の目的は事業部門を支えて企業を強くすることであり、事業部門と対立することではないと考えています。経営者の言葉を借りれば、どのようにアクセルを踏めばよいかを考えることが法務部の役割であると考えています。

保守的な法務部がブレーキ役とならざるを得ないのは、既にアクセルが踏まれて契約交渉が動き出し、大筋で合意がなされた後に、ようやく関与しているからです。どのようにアクセルを踏めばよいか考えるためには、アクセルが踏まれる前に契約交渉に関与する必要があります。そのためには、事業部門から信頼される相談相手になることが必要です。

筆者は、事業部門から信頼されるために、契約書の稟議が回ってくる度に事業部門の関係部署に足を運び、契約書の添削にあたって契約の背景事情やビジネスモデルを知りたいといって教えを請いました。法務部も事業部門も同じ人間です。契約書を審査するにも、事情も知らない人間が字面だけから判断するのではなく、ヒアリング内容を実現するためにはどのような文言でなければ駄目だと丁寧に説明した方がお互いに良い気分で仕事ができます。筆者はそれを徹底しました。そのうちに、事業部門の幅広い部署に友人ができて、友人たちは、新しいビジネスの話が入る度に筆者がいるフロアにやって来て、あるべき交渉方針や注意点を聞いてくれるようになりました。

法務部員には法的素養だけでなくコミュニケーション能力やビジネスセンスが求められるとよくいわれます。法務部の仕事は、契約書の添削や法律相談、法改正への対応、新規事業における法的リスクの抽出といった、法律に関するものです。それでもコミュニケーション能力やビジネスセンスが求められるのは、事業部門から信頼されるために必要になるからだと筆者は考えています。

5.まとめ

法務部は嫌われ者になりがちですが、きちんと社内営業をおこなえば、事業部門から信頼されて、企業がどのようにアクセルを踏めばよいかを考える参謀役になれます。法務部員として、自分の法的素養、コミュニケーション能力、ビジネスセンスを活かしたいとお考えの方は、C&Rリーガル・エージェンシー社にお気軽にご相談ください。様々な業種、会社規模の企業の中から、最も実力を発揮できる場所をご紹介いたします。

記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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