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元法律事務職員のコラム―法律事務所の事務職員の仕事の歴史と変遷- 事務職員

法律事務所の事務職員の仕事は、時代の流れとともに変遷しています。現在ではオンライン化が進んでいますが、昔はパソコンもインターネットも無く、全て手作業で処理していました。それでは、コピー機もファックス機も無い時代には、どうやって法律事務をこなしていたのでしょうか?

今回は、元法律事務所職員の転職エージェントが、昭和から令和にかけての法律事務の移り変わりを紹介します。

1. アナログな能力が重宝された「昭和の事務職員」

昭和の初めには、法律事務所にはパソコンはおろかワープロすらありませんでした。書面は全て手書きで、全ての書類を紙媒体で保存・管理していました。弁護士のメモ書きや下書きを清書することが事務職員の主な仕事であったため、法律事務所によっては、「字が綺麗なこと」が事務職員にとって最重要のスキルと位置づけられていました。

また、弁護士の悪筆を正しく読み取ることができるスキルが不可欠であったため、その法律事務所に長く在籍している事務職員や、弁護士のクセや特徴を把握している事務職員が所内で重宝されました。

コピー機が無い時代には、裁判のための証拠資料はブループリント(青焼き)で複写していました。ブループリントは大型で使い勝手が悪かったため、複写にかける手間と時間がかかりました。

昭和の半ばになると、和文タイプライターを導入する法律事務所が出てきました。事務職員の仕事は、タイプライターを使って裁判用文書を作成することが中心となりました。タイプライターは、一 文字でも打ち間違えるとページ全体を最初からやり直さなければならず、慎重かつ迅速にタイプライターを打刻する技術が重宝されました。

法律事務所にファックスが導入されるようになったのは、1980年代です。それより以前においては、書面は郵送か持参が基本でした。期日が迫っている場合には、裁判所や相手方法律事務所に事務職員が持っていくことが一般的でした。このため、事務職員のスケジュールは融通が効かず、弁護士の仕事進行に振り回されることもしばしばでした。ファックスの登場によって、事務職員の仕事は大幅に簡素化され、働き方もフレキシブルになりました。

不動産業務を扱う法律事務所では、登記情報(不動産登記、商業登記等)の取得は事務職員の仕事でした。登記情報がオンライン化されていなかったため、一つの登記情報を取得するまでに時間がかかり、事務職員にとって骨の折れる作業の一つでした。一つの登記情報を見つけるために数日掛かりでいくつもの登記所を行脚する、ということも珍しいことではありませんでした。

昭和の時代には、インターネット上の判例検索システムやCD-ROM型の判例データシステムはありませんでした。このため、弁護士から判例調査を命じられると、法律事務所内の書庫に一日中閉じこもって判例時報や判例タイムズとにらめっこする、ということが日常茶飯事でした。

2. オンライン化が急速に進んだ「平成の事務職員」

平成に入ると、法律事務所でもワープロ機器の使用が一般化し、コピー機やファックス機を導入する法律事務所も多数となりました。コピーとファックスの複合機が登場すると、1つの機械で複写から送信まで完結するようになり、事務職員の作業は大幅に効率化されました。

2000年代に入ると、事務職員職員がパソコンを1人1台ずつ持つことが当たり前になりました。ちょうどこの頃、裁判資料のフォーマットが変更されました。以前はB4縦書き袋とじの形式でしたが、A4横書きの形式に統一されました。

平成も半ばに入ると、オンライン上の判例データベースが発達しました。各種の判例検索システムが便利になり、事務職員職員が書庫に閉じこもることは無くなりました。内容証明郵便や登記情報の取得も電子化され、法律事務の大部分が事務所内で済ませられるようになりました。

以上のとおり、平成の間に急速にオンライン化が進み、事務職員が登記所や郵便局等に出向く手間は無くなり、作業効率化が一気に進みました。

3. クラウド化の波が押し寄せる「令和の事務職員」

平成の変遷は「オンライン化」がポイントでしたが、令和はさらに「クラウド化」が進むと予想されます。既にクラウド型のグループウェアを導入した法律事務所も出てきており、一部の法律事務所ではVPNを率先して導入しています。契約書の電子化や押印の電子化も進んでおり、これからますます契約事務のクラウド化、ペーパーレス化が進むことが見込まれます。

平成においても「ペーパーレス化」や「契約書の電子化」を推進する試みはありましたが、法律業界では実印や自筆署名を重要視する傾向が強く、契約書の電子化は実現不可能と考えられていました。しかし、2020年2月頃から日本国内で感染拡大した新型コロナウイルスの影響により、在宅ワークやリモートワークへの切り替えが一気に進み、契約書の電子化と押印の省略の需要が急増しています。2020年6月には、政府の公式見解(※1)によって「契約書の押印は必ずしも必要なものではない」「押印をしなくても契約の効力に影響は無い」ということが初めて示されました。

2020年7月現在、法律事務所外でのミーティング用ツール(ウェブ会議システム)を導入する法律事務所も増えています。事務所内の会議だけでなく、依頼者や顧問先との打ち合わせ手段としても活用されており、事務職員が弁護士の移動スケジュールを把握する手間が無くなりつつあります。

このように、法律事務所においては、今後さらなるIT化・合理化が進行するものと予想されます。これに対して、裁判所ではIT化がやや遅れており、一部の裁判所ではウェブ会議システム等による争点整理を開始(※2)しているものの、今後どこまで本格的にIT導入を進めていくのかは未知数です。

4. エージェントからのアドバイス

今回は、法律事務所の事務職員の仕事の変遷を時系列に沿って紹介しました。

平成に入って法律事務が一気にオンライン化されたため、現在の事務職員には、OA全般のスキル、パソコン機器・複合機への習熟や順応性が求められます。また、限られた時間内で文書中の誤字脱字や誤変換を見つけるスキルや、計算間違いや入力間違いを修正するスキルが重視されます。

今後はさらにクラウド化が進むと予想されるため、事務職員にとってパソコンスキルは必須です。特に、60代以降の弁護士の中には、ファックスが使えない人や、オンライン上の判例検索システムが苦手であるという人がいます。このような法律事務所では、弁護士に代わってOA機器を使いこなすスキルが最重要となるため、パソコンスキルの高い人は事務職員として優遇されます。

なお、契約書の電子化が進む一方で、クライアントへの年賀状や礼状は手書きにこだわるという法律事務所も少なくありません。令和の時代になっても、「字が綺麗な人が事務職員として重宝される」ということだけは、昭和の時代から変わっていません。


法律事務所の事務職員の仕事は時代と共に変化しており、求められるスキルも変遷しています。事務職員として転職する際には、事務職員がどのような役割を求められているのかを十分に理解したうえで戦略を立てることが大切です。どのような戦略を立てたらよいのか分からないという方は、転職エージェントにご相談ください。

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記事提供ライター

元弁護士 ライター
東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。

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