法務スペシャリストの転職やキャリアップに役立つ! 書評連載 まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ 企業法務の仕事【後編】|法務・パラリーガル・弁理士・知的財産の転職・求人情報なら「法務求人.jp」

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法務スペシャリストの転職やキャリアップに役立つ! 書評連載 まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ 企業法務の仕事【後編】

前回の記事では、転職に役立つ書籍として「まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ 企業法務の仕事」を紹介したうえで、企業法務未経験の人や法務実務経験4年以内の若手法務部員に向けて、効率的な読書方法を紹介しました。

後編では、中堅法務スタッフ(法務実務経験5〜10年)や課長・部長クラスの人を対象とした読書方法を紹介します。転職活動で忙しい場合は、一冊の本を通読する時間がなかなか取れないかもしれません。下記の記事を参考にして、ご自身のスタイルに合わせた効率的な読書方法を見つけてください。

1.法務経験5〜10年の中堅スタッフ

法務部での勤務経験が5年以上の場合は、「法務部員としての専門性」が重要となります。応募企業の求める人材と専門性がマッチしていればいるほど、面接で売り込みやすくなりますし、転職による年収アップを見込むことができます。

「専門性」と一言でいっても、様々な方向性があります。M&Aをマネジメントした経験があるか、海外駐在の経験があるか、ADRや訴訟に携わった経験があるか、大型プロジェクトを取り仕切った経験があるかなど、多様な種類の専門性があります。どの専門性を売りにするかは、ご自身が目指すキャリアプランによって異なります。管理職となって経営の中枢を担うことを希望している人は、マネジメントスキルを磨く必要がありますし、国際M&Aや海外事業などのグローバル業務に力を入れたい場合は、語学スキルや海外駐在の経験が重要となります。

このように、どのような専門性を売りにするかによって、転職の戦略は異なります。「まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ 企業法務の仕事」のパート2「各論編(P60-359)」では、法務部の業務が網羅的に紹介されているため、「自分のキャリアにとってどのような専門性が有利となるか」を考えるうえでのヒントが見つかるかもしれません。「法務部にはこういう仕事があるのか」という新しい気付きもあるかもしれません。

目指すべき方向性が決まったら、自分が希望する専門分野に必要な情報を集めましょう。例えば、知的財産業務を専門にしたい人は、パート2の第5章「知的財産権等(P219-224)」を、国際法務に力を入れたい人は、パート2の第2章「グローバル・コンプライアンス(P264-308)」を読んでおきましょう。

1-1.主任・責任者などのポジションに応募する場合

法務経験が5〜10年になると、主任や責任者などのポジションの応募条件に合致するようになります。このようなポジションとして採用されるためには、法務部全体を俯瞰的に見る大局的な視点が必要となります。大局的な視点を養うためには、パート1の第3章「法務部門に求められる役割(P35-46)」が参考になります。この部分を読んで、「法務部とはこうあるべきだ」という明確なイメージを作っておけば、面接の場で「主任や責任者として、どのように法務部員を引っ張っていく意向ですか?」という質問がされた場合にも、はっきりとしたビジョンを持って答えることができます。

1-2.法務部以外への転職に悩んでいる場合

中堅スタッフになると、「法務部以外の部署に応募するべきか」について悩むことがあります。20代の若手社員であれば、抵抗なく他の部署に応募することができますが、法務部でのキャリアが長くなるに連れて、新しい部署に挑戦することが心理的に難しくなります。企業に勤め上げる場合は退職まで30年以上が残っているため、他の部署を希望するかどうかは、重大な分岐点となります。

法務部以外に応募するかを考えるうえでは、法務部の仕事を見つめ直すことがヒントになります。パート1の第2章「具体的な法務関連業務(P23-29)」や、パート2「各論編(P60-359)」に目を通せば、「法務部ではこういうこともできるのか」「今の会社では〇〇という業務は営業部の仕事だが、転職後の会社では法務部で扱うかもしれない」など、新しい発見があるかもしれません。

パート2を通読しても興味を惹かれる仕事が見つからない場合は、法務部以外に応募することも選択肢の一つです。このような場合には、一人で決断するのではなく、一度転職エージェントに相談してみましょう。転職エージェントを利用すれば、自分では気づかなかった強みや弱みについて、アドバイスがもらえるかもしれません。株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社でも、法務業界に精通した専任エージェントとして転職活動のサポートを行っています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

2.課長・部長クラス

課長・部長クラスの転職では、法務部での実務経験にプラスして、「マネジメント能力があるか」という点が重視されます。マネジメント経験をアピールするためにも、できれば全体を通読することをお薦めしますが、時間が無い人は、パート1「総論編(P16-58)」だけでも目を通しておきましょう。特に、パート1の第3章「法務部門に求められる役割(P35-46)」や、第4章「法務人材の養成(P47-58)」には、法務部をどのようにマネジメントするべきかのヒントとなる情報が盛り込まれていますので、面接前に読んでおきましょう。

時間に余裕がある人は、パート2「各論編(P60-359)にも目を通すことをお薦めします。パート2では、法務部の基本業務が紹介されているため、実務経験が豊富な人にとっては、目新しい情報が無いかもしれません。しかし、新しい情報を得ることを目的とするのではなく、「自分が法務部員としてどのような経験を積んできたか」をおさらいするツールとして捉えましょう。読み進めるうちに、「そういえばこういう仕事を扱ったことがある」と思い出すきっかけになるかもしれません。

2-1.転職後の実務に役立てる

管理職として採用された場合には、転職後に新人研修や後輩の指導を任される可能性があります。この本を通読して法務部の全体像を頭に入れておけば、部下の指導や後輩の研修をする際の参考になります。

また、管理職になるとコンプライアンスに関わる重要な判断を求められる機会が増えます。パート2の第2章の「架空取引・循環取引(P107-108)」「法令遵守等(P145-148)」「海外腐敗防止(P282-287)」「反社会的勢力への対応(P288-290)」「マネーロンダリング(P291-297)」には、コンプライアンスに関わる法務部の役割が紹介されています。時間に余裕がある人は、目を通しておきましょう。

3.まとめ

今回は、転職に役立つ書籍として「まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ 企業法務の仕事」を紹介し、中堅法務スタッフと課長・部長クラスの人を対象とした読書方法を紹介しました。

転職活動には、時間がかかります。すぐに思い通りの結果が出るとは限りません。先行き不透明な状況に不安を感じることもあるかもしれませんが、焦ることなく、一つずつできることを進めていくことが重要です。法律関連の書籍を読めば、転職のモチベーションが上がり、不安が払拭されるかもしれません。

記事提供ライター

元弁護士 ライター
東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。

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