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企業法務の転職・採用における年齢との関係|ミドル・シニア層の登用の可能性を考える

目次
  • 企業法務の転職市場における年齢の影響

  • 法務人材不足の現状と中堅・ベテラン層の可能性

  • ミドル・シニア層を企業法務で迎え入れるには

  • 企業法務強化のために、ミドル・シニア層の登用を前向きに

契約書レビューが主な業務だった法務部門も、いまでは経営戦略やリスクマネジメントに深く関与する部門として位置付けられるようになりました。こうした変化に伴い、法務人材の需要は高まりを見せていますが、それに比例して若手人材の供給が追いついていないという現実も浮き彫りになっています。


一方で、40代〜50代といった「ミドル・シニア層」の人材には、豊富な経験や専門知識を持つ方が多数存在します。しかしながら、年齢を理由に転職活動で苦戦する例も少なくなく、企業側も「若手志向」から抜け出せないでいるケースが見られます。


本記事では、企業法務の転職市場における年齢の影響、採用側の意識、そしてミドル・シニア層を戦力として迎え入れる意義と具体的な方法について、詳しく解説します。企業法務の採用活動を検討されている方にとって、今後の人材戦略を考えるうえでの一助となれば幸いです。

企業法務の転職市場における年齢の影響

年齢は、企業法務人材の採用において意識されやすいポイントのひとつです。ここでは、市場の年齢構成と年齢がキャリアに与える影響について整理します。

■法務人材の年齢構成と転職傾向

企業法務の人材構成を見ると、主戦力となっているのは30代〜40代前半の中堅層です。この層は、法科大学院を修了し、企業内での法務経験を5〜10年以上積んできた即戦力であり、各企業が採用で最も重視する層でもあります。しかし、そもそも若手法務人材の母数が少ないため、採用の競争率は非常に高くなっています。


また、法務の専門性を高めるには一定の実務経験が必要であるため、新卒から数年で十分な実力を持つ若手を確保するのは難しく、多くの企業が経験豊富な人材に目を向け始めています。中小企業や成長フェーズのベンチャー企業では、教育体制が整っていない場合も多く、「育てるより即戦力を」と考える傾向が強まっています。


法務の転職市場では、年齢よりも「どのような経験をしてきたか」「どの業務をどのレベルで任せられるか」が重要になりつつある一方で、年齢が選考の判断軸になる現実も依然として存在しています。

■年齢がキャリア形成や転職活動に与える影響

40代以降の法務人材は、豊富な業務経験や専門性を有していることが多く、実務レベルでは大きな戦力になります。しかし転職活動となると、「年齢の壁」に直面することも少なくありません。たとえば、40代後半〜50代前半で転職活動を行う場合、書類選考の段階で「自社カルチャーとの親和性が不安」「将来的な昇進や定着が見込みにくい」といった理由で敬遠されることがあります。


さらに、「部長職やマネジメント経験がある=管理職として採用しなければならない」と考える企業も多く、ポジションのミスマッチが起きやすいことも、シニア層の転職を難しくしています。本来はプレイヤーとして力を発揮できる方でも、「管理職候補しか枠がない」と判断されてしまうのです。


一方で、年齢による選考の偏りは、企業にとっても機会損失につながるリスクがあります。若手に限定した採用では、候補者の幅が狭まり、結果として採用難が長期化する可能性も高まります。年齢にとらわれず、実力と適性を軸に人材を見極める姿勢が、今後ますます重要になってくるといえるでしょう。

法務人材不足の現状と中堅・ベテラン層の可能性

年齢による転職上の課題は存在するものの、実際の企業現場では深刻な法務人材不足が進んでおり、採用戦略を見直す必要性が高まっています。

■法務のニーズが拡大する一方で人材不足は深刻

法務部門に求められる役割は、従来の契約書レビューや法律相談の域を超えています。たとえば、M&A・業務提携のスキーム構築、グローバル展開に伴う海外法規制への対応、上場準備や株主総会運営、さらにはESG対応や社内通報制度の設計など、企業の経営基盤を支える存在としての役割が広がり続けています。


このような高度な役割を果たすためには、法的知識だけでなく、事業理解や他部門との連携力、さらには経営目線も求められます。しかし、こうした総合的なスキルを備えた人材は希少であり、特に地方企業や中小企業では、法務経験者を採用できないまま、現場が手探りでリスク対応を行っているケースも散見されます。


さらに、若手の法務人材は慢性的に不足しており、育成しても数年以内に退職してしまう例もあります。その結果、社内で法務機能を強化したくても人材がいないという、根本的な人材供給の問題に直面している企業が増えています。

■ミドル・シニア層の経験が今後の企業法務を支える

こうした現状において、ミドル・シニア層の法務人材は非常に重要な戦力となります。長年の実務経験を通じて、複数の業界や業務フェーズを経験してきた人材は、たとえ新しい業種であっても短期間で組織になじみ、即戦力として活躍できる可能性が高いからです。


多くの企業では、法務人材の採用にあたり「できれば若手で優秀な人材を採用したい」と考える傾向があります。将来の成長や長期雇用を見越して若手を求めるのは自然なことですが、現実には即戦力となる若手は市場に少なく、競争も激化しています。


一方で、40代・50代の法務経験者は、実務スキルも対人調整力も成熟しており、契約審査から規程整備、顧問弁護士や経営層とのやり取りまで、幅広く対応できます。それにもかかわらず、「年齢が高い」という理由で選考で不利になったり、応募自体をためらったりする例が後を絶ちません。


ただし、これは必ずしも企業側にとって最適な判断とは限りません。特に、大手上場企業や超人気企業でなければ、若手人材の安定確保は容易ではありません。むしろ、こうした企業以外こそ、ミドル・シニア層をうまく登用し、経験知を活かすことで、法務部門の基盤強化を図るチャンスがあります。


実際に、ミドル・シニア層が中核メンバーとして加わることで、社内規程の見直しが加速した、若手の教育体制が整備された、外部との交渉がスムーズになったなどの成功事例も増えています。企業法務の成熟度を一段階引き上げるためには、「年齢にこだわらない人材評価」がカギになると言えるでしょう。

ミドル・シニア層を企業法務で迎え入れるには

ミドル・シニア層を採用するにあたっては、懸念される点と同時に、得られるメリットを冷静に見極めることが重要です。

■採用側の懸念と課題

企業がミドル・シニア層の採用に慎重になる理由として、まず「長期的な雇用が難しい」という見方があります。年齢的に定年までの残り期間が限られているため、組織への定着や成長投資に対するリターンを見込みにくいと考える採用担当者もいます。


また、「カルチャーフィット」も懸念されやすいポイントです。特にベンチャー企業や若手中心の組織では、「年齢のギャップがコミュニケーションに影響するのではないか」「年下の上司や年齢が下の同僚と上手くやっていけるのか」といった心配が先行し、結果的に選考を見送る企業もあります。ただ実際には、ベンチャー企業でもマネジメントポジションの募集は多く、必ずしも年齢が上の人材を敬遠しているわけではありません。むしろ企業側が懸念するのは、応募者自身が年下の上司を受け入れにくいのではないか、という心理面での不安が大きいようです。


さらに、採用の現場では「年齢=高年収」と結びつけてしまうケースもあり、給与テーブルとの整合性が取れないと判断されることもあります。しかし実際には、年齢に見合ったスキルを持ちつつ、報酬面では柔軟な交渉が可能な方も少なくありません。


懸念点だけに着目するのではなく、候補者の人物像やスキルセット、志向性を丁寧に確認する姿勢が求められます。

■ミドル・シニア層を採用するメリット

一方で、ミドル・シニア層には若手にはない多くの魅力があります。最大の強みは「実務経験の豊富さ」です。過去に関わった取引の数、対応してきたリスクの種類、見てきた裁判例や行政対応の数は、時間をかけなければ得られない財産です。


たとえば、法改正への対応経験が複数ある、株主対応を経験している、危機管理対応で実績があるといった人物は、企業法務の安定的な運用に欠かせない存在となります。さらに、新規事業の法的リスクを事前に察知したり、社内外との調整役を担ったりと、周囲との関係構築力にも秀でた方が多い傾向があります。


また、「教育・研修コストを抑えられる」という点も無視できません。若手をゼロから育てるには時間と手間がかかりますが、即戦力として着任できるミドル・シニア層は、配属初日から高いアウトプットが期待できます。業務マニュアルの整備、後輩への指導、外部との交渉などを一手に担えることも多く、法務部門の土台固めに非常に有効です。


このような人材を、採用側が偏見なく正しく評価し、うまく登用することで、組織全体の法務レベルを一段階引き上げることが可能になります。

企業法務強化のために、ミドル・シニア層の登用を前向きに

法務人材の確保における選択肢を広げ、実効性の高い採用を行うためには、ミドル・シニア層の登用を前向きに検討することが重要です。


 

■人材不足時代の新たな戦略としてのミドル・シニア採用

現在、企業法務の採用市場では、優秀な若手人材が非常に限られており、その争奪戦は年々激しさを増しています。特に、企業規模が大きく知名度のある大手企業や、法律事務所出身者を引き付けやすい環境を持つ企業が若手を獲得しやすく、その他の企業にとっては人材確保の難易度がますます高まっているのが実情です。


このような中で、採用活動の選択肢を若手に限定してしまうと、採用期間の長期化やポジションの空白が生じ、結果的に法務部門全体の機能低下やリスク管理の遅れを招くリスクがあります。現実的な選択肢として、経験豊富な中堅層・ベテラン層に目を向けることは、むしろ、現実的かつ効果的な採用戦略といえるでしょう。


また、多様な年齢層が共存することで、知見や価値観の幅が広がり、チーム全体の成熟度や信頼性の向上にも資することになります。


年齢を懸念材料と捉えるのではなく、企業全体のリスク管理やガバナンス強化という観点から、ミドル・シニア層の採用はむしろ「攻め」の戦略として活用できる選択肢です。

■ミドル・シニア層の採用を検討している企業様へ

「若手の応募が集まらない」「経験者の採用が難航している」「法務機能を強化したいが、即戦力が見つからない」──もしこのような課題を抱えているのであれば、ミドル・シニア層の法務人材を採用するという視点を、ぜひ一度ご検討ください。


私たちC&Rリーガルエージェンシー社は、実務経験が豊富で即戦力として活躍可能なミドル・シニア層の法務人材を多数ご紹介しています。企業ごとのニーズに応じて、現場で必要とされるスキルやマインドを持つ人材とのマッチングを行っております。


年齢にとらわれず、「何ができるか」に着目した採用を進めたいとお考えのご担当者様は、ぜひ以下の特設ページをご覧ください。
「 https://www.houmukyujin.jp/lp/c/senior/ 」


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