司法書士から弁護士になるには?

業界トピックス

司法書士から弁護士に転身するには

目次
  • 1.弁護士と司法書士の業務の違い

  • 2.司法書士が弁護士を志す理由

  • 3.司法書士が弁護士を目指すメリット・デメリット

  • 4.司法書士が弁護士になるには

  • 5.まとめ

1.弁護士と司法書士の業務の違い

司法書士は登記の専門家であり、登記や供託に関する手続の代理などが業務の中心になります。これに対し、弁護士は法律関係資格のうち最上位資格にあたり、法律に関する業務はほぼすべておこなうことができます。司法書士の独占業務といわれる登記手続代理も、弁護士がおこなうことができる業務のひとつです。

弁護士にできて司法書士にできないことの代表例は、法律相談や依頼者の代理人として活動することです。法務大臣から認定を受けて「認定司法書士」になると、訴額が140万円以下かつ簡易裁判所で扱われる民事事件に限って、法律相談を受けることができ、依頼者の代理人として活動できますが、途中で訴額が140万円を超えることが判明した時には直ちに対応を中止しなければなりません。簡易裁判所の事件が地方裁判所に移送・控訴された場合には代理権を失うことになります。また、相談件数が多い離婚や相続といった案件は家庭裁判所の対象となるため、受任することができません。法律資格という点では共通ですが、弁護士と司法書士とでは、このように取扱業務の範囲が大きく異なっています。

2.司法書士が弁護士を志す理由

司法書士が弁護士を志す理由としては、「もっと幅広い法律業務を手がけたい」というものが多いと思われます。例えば、認定司法書士として活動していて、担当していた事件が地方裁判所に移送・控訴されて手を引かなければならなくなった場合、「最後まで自分が担当して、依頼者の問題解決に尽力したかった」という思いを抱くことは多いのではないでしょうか。仕事をしていく中で「ここから先は司法書士の職域ではない」という壁にぶつかって悔しい思いをすることもあるかもしれません。そのような経験が、弁護士を目指すきっかけのひとつになるといえます。

また、より上位の資格である司法試験にチャレンジして自分の実力を試したい、もっとキャリアアップしたいという思いで弁護士を目指す方もいらっしゃいます。司法書士業務をおこなう中では弁護士と関わる機会も多いため、弁護士の業務を具体的に知ることで、弁護士を目指したいと考える方もいらっしゃると思われます。

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3.司法書士が弁護士を目指すメリット・デメリット

司法書士が弁護士を目指すにあたり、最初の関門である司法試験合格という点では、司法書士試験の学習経験がかなり役立つというメリットがあります。司法試験では全8科目の学習が必要ですが、このうち民法、商法(会社法を含む)、民事訴訟法、憲法、刑法という5科目が司法書士試験と共通しています。特に、民事系科目といわれる民法・商法・民事訴訟法はボリュームが大きい科目であり、3科目のうち少なくとも2科目は得意にしておかないと合格が難しいといわれます。既に民事系の3科目すべてを学習済みであるということは大きなアドバンテージになるでしょう。

もっとも、司法書士試験において、これらの科目はほぼ択一式試験のみで出題されますが、司法試験では択一式試験だけでなく論文式試験もあります。この論文対策こそが司法試験合格の肝になりますので、司法書士経験者であっても論文対策はイチからおこなわなければなりません。知識面でのアドバンテージがあるとはいえ、勉強量はかなり多くなると考えてください。

次に、司法試験に合格して弁護士になってからは、司法書士時代に培った人脈は、弁護士になったあとにも役に立つと考えられます。例えば、よく一緒に仕事をしていた弁護士とのつながりで就職先が決まったり、司法書士時代のクライアントであった方が「弁護士になったのなら改めてこの件をお願いしようかな」と再度依頼をいただけたりすることもあると思います。広い意味での「法曹業界」で働いていたことでのメリットといえるでしょう。

また、登記や供託の実務に詳しいことは、顧客獲得におけるメリットになると考えられます。弁護士も登記代理業務ができるとはいえ、ほとんどの弁護士は登記実務に詳しくないため、自らおこなわずに知り合いの司法書士に依頼するケースが大半です。しかし、司法書士の業務経験があれば、法律相談から登記までワンストップで受任することができ、この利便性は依頼者にとっては魅力的と思われます。

とはいえ、現在は弁護士も厳しい競争にさらされており、特に大都市においてはその傾向が顕著です。2021年4月1日時点で司法書士は約23,000人ですが、弁護士は約43,000人で、司法書士よりもはるかに弁護士の方が多いのです。また、弁護士数の増加に伴って、理系の知識が豊富だったり、医師や公認会計士の資格を持っていたりと、様々なバックグラウンドを有する弁護士が増えてきています。その意味で、司法書士の資格を持っているということだけでは、他の弁護士と大きく差別化することは難しいかもしれません。また、司法書士のキャリアが長いということはそれだけ年齢も上になっているということですので、若い合格者を採用したいと考える事務所には就職しにくいこともあります。

また、勉強量が多くなることや勉強時間を捻出しなくてはならないこと、法律事務所の採用において司法書士の経験が必ず評価されるとは限らないことが、人によってはデメリットと感じるかもしれません。さらに、ロースクールに通うのであれば学費を支出しなければならないこと、司法修習中は収入が下がること、弁護士1年目の収入は司法書士時代より下がる可能性があること、という金銭面での負担もデメリットのひとつかもしれません。もっとも、これらはいずれも一時的なものであり、弁護士業務が軌道に乗れば解決する問題と考えます。

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4.司法書士が弁護士になるには

現在、司法試験の受験資格を得るには、法科大学院で所定の科目を履修する方法と予備試験に合格する方法があります。

法科大学院での学習は、多くの受験仲間ができる点、法科大学院のカリキュラムに沿って強制的に学習する機会を得られる点がメリットですが、ほとんどの法科大学院が昼間のみの開講のため、仕事を辞めるか仕事を大きく制限することが必要になります。また、最上位の法科大学院でも司法試験の合格率は60%程度であるということを念頭に置いて、進学先を十分に検討することが大切です。なお、法科大学院には2年間の既修者コース、3年間の未修者コースがあります。これまでは卒業してからしか司法試験を受験できませんでしたが、2023年からは単位や成績など一定の要件を満たした場合、在学中受験も可能になりました。

これに対し、予備試験の場合、仕事を続けながら目指せるという点が既に司法書士として働いている人にとっては最大のメリットといえるでしょう。また、予備試験合格者の司法試験合格率は約90%と、圧倒的な合格率を誇っています。もっとも、その分予備試験に合格することは極めて難しく、例年最終合格率は3~4%程度となっています。働きながらの学習の場合、受験仲間もできにくく、仕事と学習の両立の大変さから挫折してしまう人も少なくありません。強い意志で学習を継続できるかどうかがポイントになると思います。

なお、予備試験を目指す場合には予備校を利用する方が多いです。予備校の授業を通して正しい知識・学習方法を学び、疑問点をその都度解消していくことで、短期での合格が可能になるからです。

ご自身にとって1番最適な方法を選んでいただきたいと思います。

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5.まとめ

近年、法律事務所や企業は司法書士有資格者の求人募集をすることもあり、C&Rリーガル・エージェンシー社でも、司法書士の転職のお手伝いをさせていただいております。転職先のご紹介だけでなく、司法書士としてのキャリア形成についてもアドバイスさせていただきます。

また、司法書士として転職したい方はもちろん、司法書士の経験を持ちながら司法試験に合格した方についても、これまでの司法書士としてのキャリアを活かせる場所や、これまでの経験とは離れて新しいことにイチから挑戦できる場所など、ご希望に沿えるようサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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